鯑の雑記

鯑の雑記です。

メモ

このブログの記事では読んだPDFの雑感などを随時まとめていこうと思います。

量子基礎論(量子物理学)

多様化する不確定性関係(谷村)

谷村さんの記事などはここから見ることができます。谷村省吾先生のHP

多様化する不確定性関係は、不確定性関係について包括的にまとまっているpdfで、測定理論にも繋がる内容が書いてあります。内容は、だいぶ最近(といっても4,5年前までのものですが)の不確定性関係周りの話(渡辺上田沙川の推定理論を使った不確定性関係など)についても触れてあります。あまり(伝統的な?)量子力学の教科書にここら辺の話は詳しく書いていないので、物理学科の学生が読むには良いと思います。

量子測定の原理と問題点(清水)

量子測定の原理と問題点というタイトルの東大の清水先生の雑誌数理科学に掲載されていた記事。量子論の基本原理として含むことがある射影仮説の理想測定での役割や、射影仮説なしで(理想)測定を特徴づけようとする試みの困難、量子測定の原理などが書かれている。ここら辺の話はだいぶ原理的で難しい話であるように感じる。

演算子の定義域と自己共役性

演算子の原理と問題点 田崎さんの書かれている量子力学の教科書(近刊)の付録。量子力学の数学的な定式化(の一部)についての解説されている。量子論は、数学的にはヒルベルト空間での 関数解析になってくる。物理だとあまり意識されることはすくないものの無限次元で、有限次元の議論をつかえないことは少なくなく、このpdfでは量子力学の数学的な扱いの一部、特に演算子の定義と 自己共役に関する部分について物理の学生でもわかるようわかりやすく解説されてある。

物理一般

くりこみ群の話(田崎)

田崎さんの繰り込み群についてのpdfです。田崎さんが書いた記事は田崎さんのHP Hal Tasaki's Home Page in Japaneseに載っています。 このpdfは、統計力学や場の量子論繰り込み群の方法を使うといった(少し)専門的な話ではなく、高校物理でおなじみの中心力問題についての解析で繰り込み群の方法を用いることで、学部生などにもわかりやすく、くりこみ群の考え方を伝えることを目的としているようです。実際、統計力学繰り込み群よりも話の導入としてわかりやすいと思います。

ブラウン運動非平衡統計力学(田崎)

ブラウン運動と非平衡統計力学アインシュタインの関係式の導出や意義を前期の学部生にもわかるような形で解説してあります。最後の章、節の「非平衡統計力学の展望」には、これからの課題は真の「非平衡統計力学」と呼びうる理論体系の構築に対してアインシュタインの関係式はその手がかりになりうるということなどが書かれている

双対性をめぐる物理学対話(小嶋、谷村)

小嶋さんと谷村さんの 双対性をめぐる物理学対話 量子と古典、ミクロとマクロというpdfです。物理や数学の双対性について対話形式で書かれてあリマス。フーリエ・ポントリャーギン双対あたりが面白かったのですが、後半は自分の理解不足でまだあまりわかっていません。

物性

物性理論

超伝導体のふしぎ(家)

東大物性研の家さんの 超伝導のふしぎというpdfです。超伝導の仕組みやその本質について学部2年くらいでもわかるようなわかりやすい基礎的な解説がなされています。

第二量子化の速習のためのノート(加藤(岳))

東大物性研の加藤さんの 第二量子化の速習のためのノートというpdfです 。物性向け(非相対論的で、フェルミオンに議論を限定している)の第二量子化 について、わかりやすく解説されています。私は小形先生のSGC-142「物性物理のための場の理論グリーン関数」の2章あたりと併読して読みました。

量子流体・超流動ヘリウムの物理(坪田)

量子流体・超流動ヘリウムの物理 超流動ヘリウムの物理について簡単に書かれてある。詳しいことは坪田先生本人が書いてある「量子流体力学」坪田 誠 著 笠松 健一 著 小林 未知数 著 竹内 宏光 著 を参照すると良いと思う。

スピンはそろう — 強磁性の起源をめぐる理論(田崎)

スピンはそろう — 強磁性の起源をめぐる理論 強磁性の由来に関する研究の紹介がわかりやすくなされている。強磁性は物質中の多数の原子のスピンが同じ向きを向いた状態であるが、なぜスピンがそろうかについて説明することは難しく、固体中の電子の主な相互作用であるクーロン相互作用から強磁性が生じるメカニズムを考えるには、量子力学の性質が重要で、しかも連続空間での2電子系は強磁性を示さないことがわかっているため、本質的に量子多体系の問題と言えるらしい。この記事は話の流れは書かれているものの、(特に後半の)詳細は参考文献を見てほしいという感じであるので、詳しく知りたい場合は参考文献や最近出版された Tasaki Physics and Mathematics of Quantum Many-Body Systems を続けて読むべきであるようだ。

フラストレートした量子多体系(堀田)

フラストレートした量子多体系 フラストレートした量子多体系の物理に関する簡潔な解説

物性実験

真空技術超入門(市村)

真空技術超入門という名前のpdfで、真空技術(ここでの真空とはJISに定められた「通常の大気圧よりも低い圧力の気体で満たされた空間の状態」のこと)に関して、真空技術を全く学んだことのない人に対してわかりやすく解説してある。書いた市村さんは「真空技術に関してはほぼ素人」ということなので、詳しい内容は堀越「真空技術 第3版」を参考にした方が良いかもしれない。